性感染症でも最も怖いイメージがあるのがHIV感染症でありエイズです。
一般的に感染してしまうと助からないイメージがあるのですが、果たして治療するための薬はあるのでしょうか。
ここではエイズの治療などについて詳しく見ていきます。
HIVとエイズの関係を知ろう
エイズという言葉はいつの間にかHIVに変わっていて、同じ意味であると考える人も少なくありません。
ですが実際には異なる疾患となりますので、先にその違いを確認しておく必要があります。
HIVというのはヒト免疫不全ウイルスのことで、これに感染することで免疫力が低下し始めます。
免疫とは体内に病原菌が侵入してきた時に、駆逐する機能のことを言います。
この免疫機能が低下することで、体内の防御力が弱くなり、病気にかかりやすくなるのです。
HIVに感染した結果として、免疫力が低下して別の症状が発症することがあります。
この発症した症状が指定されているものであれば、エイズと診断されるのです。
つまりHIVに感染することと、エイズはイコールではありません。
HIVに感染した結果、合併症を発症することでエイズになるのです。
エイズの治療薬はあるのか?
先述したようにエイズとは合併症の総称です。
日本語にすると、後天性免疫不全症候群となります。
厚生労働省が指定する23の病気のうち、いずれかを発症することでエイズと認定されます。
エイズの治療については個別の対応をすることになります。
ただ免疫機能が正しく働かなくなるので、1つの病気は治療できたとしても別の病気を発症するかもしれません。
それだけ健康的な生活をするには、免疫機能は欠かせないものなのです。
言い換えると、エイズを発症させないことが一番重要になってきます。
HIVの治療薬はある?
エイズの前段階であるHIVへの感染については、抗HIV薬という薬が開発されています。
以前は副作用が強いこともあり、あまり推奨できなかったために、ある程度症状が進行するまでは服用を見送られてきました。
ですが近年では改良された薬がでてきており、以前ほどの身体にかかる負担はなくなっています。
そのため早めに処置がなされるようになってきました。
抗HIV薬とはどんな薬なのか?
では次に抗HIV薬について確認をしてみます。
HIVに感染をした時の治療に使われる抗HIV薬ですが、大きくは5つの系統があります。
- 核酸系逆転写酵素阻害剤
- 非核酸系逆転写酵素阻害剤
- プロテアーゼ阻害剤
- インテグラーゼ阻害剤
- 侵入阻害剤
この内3種類から4種類を組み合わせつつ、内服することで治療をしていきます。
ただ近年では医療技術の進歩によって、1錠の中に複数の成分が合成された薬も作られています。
そのため1日1錠の服用で治療することもできるようになっています。
抗HIV治療薬を使う上での注意点
抗HIV薬を使うことによって、エイズが発症する原因となる免疫機能の低下を抑制できます。
ただし飲み忘れには注意をしなくてはいけません。
毎日服用することに重要な意味があるため、飲み忘れてしまうと治療に失敗してしまうのです。
10回の服用の内、1回~2回のミスで治療に失敗をします。
その確率は2人に1人とも言われているほどです。
それではなぜ飲み忘れると、治療に失敗するのでしょうか。
これはウイルスが薬に対する耐性を獲得してしまうためです。
つまりウイルスに対して薬が効かなくなるので、きちんとした間隔で確実に服用することが重要だとされているのです。
HIVに感染しないためには
HIVに感染をしたとしても、抗HIV薬を使うことで免疫機能の低下が抑制できるようになりました。
ですがこの治療法は完治するためのものではなく、生きている限りはずっと続けていく必要があります。
将来的には根治できるかもしれませんが、現状では感染すると症状を抑えることはできても根治はできないとされています。
そのためHIVには感染しないことが一番重要になります。
では感染しないための予防方法には、何があるのかを確認していきましょう。
HIVの予防法を知ろう
HIVの感染経路として性的感染、血液感染、母子感染が主に考えられます。
この中で血液感染と母子感染については、どちらも対処方法が確立しているため、かなり感染リスクが少なくなっています。
そのため一般的に言えば、最も感染のリスクが高いのは性的感染となってしまいます。
この性的感染を予防するのに必要なのは、正しい知識です。
もともとHIVウイルスは感染力がそれほど高くはありません。
そのため正しい知識を持っていれば、感染のリスクはかなり低減できるのです。
HIVに感染しないための基礎知識
HIVが多く含まれるのは体液ですが、主には以下の4つです。
- 血液
- 母乳
- 精液
- 膣分泌液
これらが傷や粘膜に接触すると、そこから体内にHIVウイルスが侵入します。
汗や尿、涙などのような体液から感染することはありません。
仮にパートナーが感染者だとして、同じお風呂に入浴をしたり、飲み物を回し飲みしても感染はしません。
最も多いのが性的な接触による感染です。
役立つのはコンドームなのですが、挿入時のみに装着するのではなく、性交渉の前からつけるが最も安全とされています。
またオーラルセックスをするとしても、なるべくコンドーム越しに行いましょう。
ちなみにキス程度であれば、唾液からHIVに感染することはほとんどありません。
男性の同性愛者の感染が全体の70%以上
ところで日本での実際のHIV感染経路に関してですが、全体の70%以上は、男性同性愛者間による感染になります。
男性同士の性的接触は主に肛門(アナル)を使用しますが、男性同士ですとプレイもかなり激しくなり、またアナルも非常に傷つきやすい部位のため、コンドームを付けない生のプレイにおいては、容易に傷からHIVウィルスの侵入を許してしまうのです。
特にアナルで受け入れる側の感染確立が高くなる傾向にあります。
エイズの予防と治療まとめ
エイズとは特定の疾患を指すのではなく、免疫力の低下によって引き起こされる合併症の総称です。
この合併症を引き起こすのがHIVウイルスになります。
HIVについてはその働きを抑制する薬が開発されていて、この薬を常用することで免疫力の低下を防げるのです。
つまりエイズの発症を防ぐことができます。
ただしHIVは感染すると完治できないので、感染しないように予防することが最も大切です。
HIVに感染しないようにするには、コンドームの着用が一番確実となります。