梅毒とは危険な性感染症の1つとして一般の方でも認知されていると思います。
放置をしていると命を脅かす症状を発症することもあるため、できるだけ早期に治療することが望ましいでしょう。
ここでは梅毒を放置していることで起こる、全身症状や先天性梅毒の危険性、さらに梅毒に感染した場合の治療方法などについて書いてみます。
梅毒のメカニズムを知ろう
梅毒は非常に隠匿性の高い病気です。
同じく性感染症の中でも淋病のように、わかりやすい症状がでるケースでは発見もしやすいですし、素人としても病院に行かなければと覚悟ができます。
ですが梅毒の場合は、しばらく放置していると症状が自然治癒したかのように消えていくのです。
もちろん治癒したわけではなく、無症状期間に入っただけなので体内には変わらず病原菌(梅毒ウイルスの梅毒トレポネーマ)が存在します。
ですが素人目には治ったように見えてしまうので、早期に発見はできていても病院に行かずに放置する人も少なくありません。
昔のように梅毒は不治の病ではなくなりました。
ペニシリンの発見によって抗生物質が作られるようになり、梅毒に効果の高い抗生剤も開発されたためです。
ですが放置したことによって起こる、全身症状などは梅毒の治療はできても障害が残る可能性が高いのです。
そのため放置するのは危険だと言えます。
梅毒の症状は4つに分類できる(初期症状から末期症状)
梅毒は感染すると症状が出る期間と無症状期間を繰り返します。
まとめると以下の期間に分類されます。
- 感染から3週間【第1期梅毒】
- 感染から3ヶ月【第2期梅毒】
- 感染から3年【第3期梅毒】
- 感染から3年以降【第4期梅毒】
簡単に各期間の症状の特徴をあげておきます。
梅毒は「偽装の達人」とも呼ばれており、症状が軽かったり出ない場合もあります。
第1期梅毒(感染~3週間以上)初期症状
第1期梅毒で出現する症状が、いわゆる初期症状になります。
- 感染から約3週間で感染部位に軟骨のようなしこりができる
- 痛みのないリンパ節の腫れが起こる
- これらの症状は2~3週間程度で消失する
- 微熱が出る
- 原因不明の体調不良がずっと続く
第2期梅毒(感染~2カ月から3ヵ月経過)
- 手のひらや足の裏に発疹ができる
- 丘疹性梅毒疹がでる
- バラ疹がお腹や背中をはじめ全身にでる
- 性器や肛門周辺にいぼができる
第3期梅毒(感染~3年後)
皮膚、筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)ができる。
第4期梅毒(感染~3年から10年後)
- 心臓や血管などに障害がでる
- 脳障害による認知症
- 失明
- 大動脈炎・大動脈瘤
以上が梅毒の代表的な症状となります。
梅毒の治療方法
梅毒に感染したり、感染の可能性がある場合は、何科を受診すればいいのでしょうか?
基本的には梅毒の検査と治療は感染症を扱う、性感染症内科(性病科)に行きましょう。
インターネットで「性病科」と検索したり、「性病科 ○○」と自分の住んでる地域名で検索すれば、いくつもの病院が出てきます。
そこではまず検査が行われます。
検査方法としては、しこりや発疹等の症状が出ている場合は、その部位の目視検査と血液検査になりますが、症状がない状態での検査は血液検査だけとなります。
通常1週間ほどで検査結果が出ます。明らかに梅毒の症状が出ている場合は、検査結果を待たずに薬を処方してくれる先生もいます。
検査で陽性反応が出た場合には、ペニシリン系抗生物質またはペニシリン系ジェネリック医薬品での治療が始まります。
海外では1回筋肉注射するだけで治療が終了しますが、日本では注射治療が認可されていないため、ペニシリン系のお薬を服用する治療となります。
通常はペニシリン系のお薬を1日3回服用し、進度に合わせた期間飲み続けます。
- 第1期では4週間
- 第2期では8週間
- 第3期以降では12週間を必要とします
この期間中は、定期的に血液検査をすることによって、医師が通知の変動を確認していきます。
そして最後に基準以下の数値まで落ちれば、梅毒治療の終了となります。
病院での検査が恥ずかしい場合は通販で
梅毒の場合、基本的に性病科への受診をおすすめしますが、最初はどうしても恥ずかしいものです。また梅毒ではない可能性もあるため、余計に躊躇してしまうのですね。
その場合は、まず自宅検査キットで確認するという方法もあります。
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先天性梅毒とはどういう病気なのか?
梅毒に感染していることを知らずに妊娠をしたり、妊娠中に感染することで起こるのが先天性梅毒です。
胎盤を通して胎児が病原菌に感染する母子感染のことです。
初期症状の段階で妊娠をしている場合、母子感染のリスクは約6割から8割とかなり高くなっています。
感染から3年経過している無症状の状態だと、母子感染のリスクは下がることになるでしょう。
胎盤を介した感染となるため、特に妊娠中期以降は母子感染のリスクが高まってしまうのが特徴です。
先天性梅毒の症状はどうなの?
先天性梅毒の症状については以下の通りです。
- 胎児の4割は死産もしくは、新生児死亡する
- 皮膚発疹
- 発育不全
- 肝臓や脾臓が炎症による肥大化
- 角膜実質炎
- 内耳性難聴
- 歯の形成異常
以上の症状が該当します。
ちなみに生後2年以内に症状がでるケースを早期先天梅毒、生後2年以降にでるのが晩期先天梅毒と呼ばれています。
先天性梅毒の治療はどうする?
現在では妊娠初期に行われる妊婦健診に、梅毒の検査も含まれています。
そのため既に感染していた場合は、早期に治療ができるため基本的に重症化することはないと考えて良いでしょう。
ただし検査後に感染してしまうリスクもあるので、妊娠中の性行為には注意が必要です。
特にパートナーが性風俗などで罹患する可能性が高いため、十分に注意しなくてはいけません。
梅毒に感染している場合の治療ですが、妊娠4ヶ月頃までに抗生物質による治療を行います。
母親が服用することで胎盤を通して、胎児にも治療が行えるためです。
梅毒における全身症状とはどんなもの?
梅毒を放置していると全身症状が起こる可能性が高いです。
先述した梅毒の症状から言えば、末期(第3期~第4期)の症状に該当します。
放置をしていると、一見すれば症状が治癒したように見えるのですが、体内では静かに病状は進行していきます。
ゴム腫ができるようになっても放置していると、全身の臓器などに障害が広がっていくのです。
症状としては以下の通りになります。
- 動脈瘤などの血管障害
- 脳髄炎などからの認知症
- 神経梅毒と呼ばれる神経障害
- 失明
放置していても自然治癒する可能性はないため、生死に関わる段階に入ります。
よって、第2期梅毒の時点でなんとしても治療を開始する必要があることを、覚えておきましょう。
末期の全身症状がでても治療はできるのか?
基本的に梅毒は早期発見、早期治療を行えば障害などもなく、100%治癒することができる病気です。
第1期の状態なら4週間、第2期なら4週間~8週間程度の服薬治療を毎日行うことで完治できます。要するに治療が早ければ早いほど、早く完治できるのです。
この時に重要なのは症状が消えても、出された薬がある場合は最後まで飲みきることです。
中途半端に治療をやめてしまうと、梅毒が駆逐できません。
全身症状に至ったとしても梅毒の治療は可能です。
ただし既に起こってしまった機能障害については、治療後も完全に治癒することはありません。
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梅毒治療のまとめ
梅毒を放置することの危険性についてでした。
確かに梅毒は不治の病として知られていましたが、その話は既に100年以上も前の話です。
早期発見早期治療を行えば、完全に治癒ができる病気になります。
ですが放置をしていると、全身症状が起こったり、先天性梅毒を引き起こすかもしれません。
全身症状によって起こった身体の機能障害は治療ができません。
先天性梅毒は治療ができますが、母子ともにリスクを背負うものですから感染しないことが重要です。