陸上のハードルは走る、跳ぶの2要素を兼ね備えた、トラック種目の1つです。
短距離走の陰に隠れがちですが、あまり知られていないハードルならではの魅力もあります。
この記事では、ハードル競技の基本的なルールや魅力についてご紹介します。
ハードル競走とは
ハードル競走は、陸上競技のトラック種目の1つです。
その始まりは1867年のイギリスで、100年以上の歴史がある競技です。
一定間隔に置かれたハードルを跳び越えながら走り、タイムを競います。
ハードルの高さや個数は、走る距離と性別に応じて変わります。
現在、ハードル走には以下の3つがあります。
- 110メートルハードル
- 100メートルハードル
- 400メートルハードル
ハードルの高さと間隔の違いを見ていきましょう。
110メートルハードル
110メートルハードルは、男子によって行われる競技です。
10台のハードルが置かれた直線レーンを走ります。
ハードルの高さは1.067メートルで、スタートから1つ目のハードルまでに13.72メートルの距離があります。
また、途中のハードル間は9.14メートル、最後のハードルからゴールまでは14.02メートルです。
ちなみにこのハードルの高さは、一般の男性が一台ようやく飛べるかどうか、というくらいの高さです。
100メートルハードル
100メートルハードルは、女子によって行われる競技です。
ハードルの数は110メートルハードルと同じです。
ハードルの高さは0.838メートルで、スタートから1つ目のハードルまでに13.00メートルの距離があります。
また、途中のハードル間は8.50メートル、最後のハードルからゴールまでは10.50メートルです。
400メートルハードル
400メートルハードルは、男子と女子それぞれに行われる競技です。
上2つと同じく10台のハードルが置かれた400メートルトラックを一周走ります。
ハードルの高さは男女で異なり、それぞれ0.914メートルと0.762メートルです。
スタートから1つ目のハードルまでが45メートル、途中のハードル間が35メートル、最後のハードルからゴールまでは40メートルとなります。
ハードル競走のルール
110メートル、100メートル、400メートル共に、基本ルールは同じです。
クラウチングスタートによってスタートし、胴体がフィニッシュラインに達した時点でフィニッシュです。
フライングは各レース1回しか許されておらず、2回目以降のフライングは、選手が誰であろうと失格になります。
また、ルール上はハードルに足が触れたり、倒してしまっても問題はありません。
ただし、レース中にわざとハードルを倒してはいけず、低い位置でハードルの横を通過することは禁止されています。
ハードル競走の知られざる魅力
短距離走とハードル競走の違いはハードルの有無だけですが、その違いが競技性に大きな違いを生んでいます。
短距離走にはないハードル競走の魅力とは、どのようなものでしょうか?
100メートル、110メートルハードルの魅力
これら2つの種目は、一直線上に等間隔で配置されたハードルが特徴です。
直線なので、1台目のハードルからゴールまで、常に歩数がほぼ一定に保たれます。
そのため、ハードルから次のハードルまでの歩数間隔を掴むことが重要です。
走力と歩幅間隔の正確な調整が、110メートル、100メートルハードルならではの魅力です。
400メートルハードルの魅力
一方、400メートルハードルではコース上に曲線があるため、走力によって次のハードルまでの歩数が変化します。
そのため、直線よりも複雑な歩数調節が求められ、利き足と逆足での跳躍が必要な場合もあります。
臨機応変に走る必要があるため難しくはありますが、跳躍前の複雑な駆け引きが400メートルハードルの魅力です。
ハードル競走に共通の魅力
ハードル競走は、ただ走るのが速いだけではいけません。
他の選手に競り勝つためには、いかに無駄なくハードルを飛び越えるかが重要です。
ミリ単位の調整が勝敗を分け、一歩間違えれば大きな怪我に繋がります。
レース中は最後まで気が抜けません。
しかしその分、最後まで完璧に走り切れた時の達成感は相当なものです。
数ミリ単位の勝負と緊張感、その後に待つ達成感が、ハードル競走の最大の魅力です。
ハードル競走の世界大会
ハードル競走には、どのような世界大会があるのでしょうか?
メジャーな世界大会をご紹介します。
世界陸上競技選手権大会
国際陸上競技連盟によって行われる、世界最高峰の大会です。
1983年に第1回ヘルシンキ大会が開かれ、現在は奇数年の夏季に開催されています。
ハードル競技の4種目は、第1回大会から採用されています。
オリンピックのハードル競技
1867年に生まれたハードルは、1896年の第1回アテネオリンピックで100メートルハードルとして採用され、当時のハードルは8台でした。
その次のオリンピックから、現在と同じ110メートルハードルが行われています。
その後、女子ハードルも変遷を経て加わり、現行の男女計4種目となりました。
世界陸上競技選手権大会と並び、陸上最高峰の大会の1つです。
まとめ
ハードル競走は、走りと跳びが融合した競技で、走力と跳躍技術のバランスがカギを握っています。
単なる走力だけでは比べられず、走る距離によって歩数調節が必要な、非常に繊細な競技なのです。
短い間に詰め込まれたギリギリの駆け引きは、ハードル競走だからこそ味わえる醍醐味ですね。