スピードを競う自転車競技のひとつに、トラックレースがあります。
自転車トラックレースは種目数がとても多く、2020年に開催される東京オリンピックでも多くの種目が採用されています。
主な種目の特徴や基本ルール、見どころなどをまとめて紹介しましょう。
スピーディな自転車競技、トラックレース
トラックレースは自転車で競技場のトラックを周回して速さを競う競技です。
トラックは角丸長方形で内側に向かってカントと呼ばれる勾配の付いたすり鉢状になっています。
特にカーブのポイントではカントがきつくなっていて、全体を通してスピードを落とさずに走れる構造になっています。
トラックの舗装は板やコンクリート、ウォークトップと呼ばれるカラーシーリング材など様々で、一周の距離は250mから500mが一般的です。
舗装や周回距離は種目によっても異なり、種目ごとの特性に合わせた環境が設定されています。
トラックレースの種目
トラックレース競技が採用されている主な国際大会には、4年に1度のオリンピックや毎年開催される世界自転車選手権があり、それぞれ多数の種目が採用されています。
種目は変更になることがありますが、現時点でオリンピックや世界選手権で採用されている種目は次のとおりです。
- スプリント
- チームスプリント
- ケイリン
- チームパシュート
- オムニアム
- マディソン
スプリント
個人で決められた周回を走って着順を競う短距離のトラック種目です。
最終200mのタイムを競う予選で上位に入った選手が決勝に進み、決勝は1対1のマッチレースで行われます。
ゴールに向けたラストスパートまでの熾烈なポジション争いやゴール前のデッドヒートが見どころの種目です。
チームスプリント
男子は3人1組、女子は2人1組のチームでトラックを3周走り、1周ごとに先頭がコースから外れていき最後の1名同士で勝敗を決する、タイムトライアルレースです。
常に有利なポジションを探りつつ、最後の1人にいかに体力を温存させるかが見どころのひとつです。
ケイリン
トラックを8周して速さを競うケイリンは公営競技の競輪から派生した種目で、区別するためにケイリン(KEIRIN)と呼ばれています。
どちらもトラックを周回して速さを競う点では共通していますが、トラックの長さやカントの角度、レースに参加する競技人数や周回数など細かな違いがあります。
もっとも大きく違うのは競輪が主に地方支部ごとの隊列を組んで競うライン戦であるのに対し、ケイリンは完全な個人戦である点です。
日本生まれのケイリン(KEIRIN)は、国際自転車競技連合にも正式名称として認定されています。
チームパシュート
団体追抜競走とも呼ばれる種目で、4人1組の2チームが計4kmの走路を駆け抜けて相手を追い抜くかタイムで上回ることで勝利となります。
空気抵抗をいかに抑えながら戦うか、コーナーを使っていかに先頭交代をスムーズに行うかがカギとなる、チームワークが見どころの種目です。
オムニアム
下記の4種目を1日で行い、合計得点で順位を決定する複合種目です。
- スクラッチ
- テンポレース
- エリミネイション
- ポイントレース
スクラッチは全員が一斉にスタートするトラック種目で、テンポレースは各周ごとに先頭選手にポイントが加算される種目。
エリミネイションは2週ごとに最下位の選手が脱落していき、ポイントレースでは25kmから50kmを中間ポイントを獲得しながら走破します。
マディソン
2人1組のペアで交代しながら決められた距離を走り切るポイントレースです。
交代のタイミングや、交代の際に行われる加速のためのハンドスリングなどの動作が見どころの種目です。
トラックレースはここが面白い!
トラックレースでは今回紹介した以外にもたくさんの種目があります。
種目ごとに特徴があり見どころもそれぞれに違いますが、風の影響を大きく受ける自転車競技では基本的に先頭の選手ほど風圧で不利になるため、中盤までは他の選手の後ろに付く形でレースを組み立てる戦法が一般的です。
少しでも有利なポジションを確保するための牽制や駆け引きが見どころのひとつで、最終周に入るあたりからレースの様相がポジション争いから先頭争いへとチェンジします。
特にスプリント系の種目では各選手が爆発的に加速するため、一気に会場全体のボルテージが上がります。
種目によっては最高速度が時速70kmにまで達することもあり、その迫力はまさに圧巻のひとことです。
トラックレースまとめ
自転車競技のひとつであるトラックレースにはスプリントやチームパシュート、マディソンなど様々な種目があります。
スプリント系の個人競技では中盤までのポジション争いとレース終盤に過熱するトップ争い、チームパシュートやマディソンなどのライン戦ではスピーディなレース展開の中で発揮されるチームワークが主な見どころです。
レースを通して様々な戦術や駆け引きがあるので、競技を知れば知るほどトラックレースの魅力は高まるでしょう。