オリンピックでのメダル獲得により日本でも話題になったフェンシングですが、詳しい競技内容についてはあまり知られていません。
フェンシングには3つの種目があり、それぞれに違った魅力があるのです。
この記事ではそれら3つの種目について、各内容と見どころを説明します。
フェンシングはどんなスポーツ?
フェンシングとは、向かい合った両選手が片手に持った剣を用いて戦うスポーツです。
中世ヨーロッパの剣術を元に生み出され、スポーツとしての競技ルールが統一されて以降、100年以上の歴史があります。
ヨーロッパで生まれた経緯から、フェンシングの用語には<フランス語>が使用されています。
フェンシングの基本ルール
フェンシングの試合は、ピストと呼ばれる幅1.5メートル×長さ14メートルの台上で行われます。
試合時間は3分で、5ポイント先取制です。
先に3分経った場合は、ポイントの多いほうが勝ち、同点の場合は1分間で1点先取の延長戦を行います。
また、決勝トーナメントの場合は、3分×3セットの15点先取制です。
フェンシングの3種目
フェンシングは内容によって以下の3種目に分類されます。
- フルーレ
- エペ
- サーブル
それぞれ剣の種類が異なっており、種目名の由来になっています。
いずれも基本ルールは同じですが、攻撃の有効面等に細かな違いがあります。
各種目ごとに見ていきましょう。
フルーレのルールと見どころ
3種目の中でも基礎的な位置付けにあり、日本で最も認知度の高い種目がフルーレです。
フルーレの剣は、軽量化されたレイピアが元になっています。
剣には電流が流れており、攻撃を感知する仕組みです。
攻撃手段は突きのみであり、攻撃権を重視する点がフルーレの特徴です。
攻撃権は先に攻撃を仕掛けた側に与えられる権利で、両選手が同時に突いた場合、攻撃権を持つ側のポイントとなります。
攻撃権を奪うためには、仕掛けられた剣に触れて弾かなければいけません。
また、頭部と両足は攻撃の有効面として認められず、胴体のみが攻撃対象です。
攻撃権を得るための駆け引きにおける激しい技の応酬こそ、フルーレ最大の見どころです。
エペのルールと見どころ
エペではフルーレと対照的に、三角断面で重量のある曲がりにくい剣を用います。
フルーレのような攻撃権がなく、先に相手を突いた側のポイントとなるシンプルなルールです。
もし同時に相手を突いた場合は、両者ともにポイントが入ります。
胴体のみが攻撃対象のフルーレと異なり、全身が攻撃の有効面となっています。
また、剣の内側にある非絶縁部も攻撃の有効面に含まれます。
有効面が広いため、スピーディーで多彩な攻撃手段が特徴です。
相手の攻撃をいかにして防御するかも重要なので、一瞬に駆け引きと緊迫感が見どころです。
サーブルのルールと見どころ
サーブルは2004年にオリンピックの正式種目に採用された種目です。
3種目中最速の競技と言われ、決闘のためのサーベル術が元になっています。
フルーレ同様に攻撃権があり、突きだけでなく斬りも攻撃として判定されるのが特徴です。
サーブルの攻撃有効範囲は、腰より上の上半身になります。
また、フルーレでは無効の突きに対して審判が反応しますが、サーブルでは反応しない点も特徴的です。
斬りが加わることによるダイナミックさと、スムーズな試合進行がサーブルの見どころです。
フェンシングのメジャーな世界大会
ヨーロッパでの競技人口が多いフェンシングですが、世界規模の大会も開催されています。
どのようなメジャー大会があるのでしょうか?
フェンシング世界選手権
国際フェンシング連盟によって開かれる世界最高峰の大会です。
最初はヨーロッパ選手権という形で、1921年の第1回大会がパリにて開催されました。
1937年以降は世界選手権となり、基本的には毎年行われています。
男女別でフルーレ、エピ、サーブル3種目があり、さらに個人と団体戦に分かれます。
なお、夏季オリンピックが開かれる年には開催されません。
オリンピック、パラリンピックのフェンシング競技
オリンピックにおけるフェンシングの歴史は長く、第一回のアテネ大会から毎回採用されています。
当初は男子フルーレ個人と男子サーブル個人のみの採用でしたが、追ってその他の種目も加わりました。
2020年の東京オリンピックでは、男女ともにフルーレ、エペ、サーブルの個人と団体競技の全種目が実施されます。
また、パラリンピックでは車いすフェンシングが採用されており、オリンピック同様フルーレ、エペ、サーブルの3種目が男女別に行われます。
フェンシングのまとめ
フェンシングはヨーロッパの決闘を元に生まれ、今のスポーツとしての位置を確立しました。
ヨーロッパ以外の地域での競技人口はまだ少ないですが3種目それぞれに異なる魅力があり、これからの普及が期待されます。
オリンピックでも採用されているので、これから試合を目にする機会もあるでしょう。
各種目の見どころを押さえ、フェンシングならではの魅力を存分に味わいたいですね。