合同会社と聞くと、株式会社よりも信頼性が低いというイメージを持つ方も多いようです。
また同時に「小さい会社なのかな?」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかしこれは大変誤ったイメージで、海外の大手有名企業の多くが合同会社を設立していますので、今後こうしたイメージは徐々に変わってくることが予想されます。
むしろ少人数で運営していく企業にとっては、合同会社の方が圧倒的にメリット多数なので、世間の見方も変わっていくことでしょう。
この記事では、今注目の合同会社について以下の点を解説しています。
- 大手有名海外企業の中でどんな企業が合同会社を選択しているのか
- 合同会社のメリットとは?
会社設立を検討しておられる方は、上記の内容を参考にしていただければと思います。
海外の大手企業の多くが合同会社を選択している
誰もが名前を知っているような大手有名企業の多くが、日本支社を合同会社で設立しています。
(または株式会社から合同会社への組織変更の場合も有)
全ての会社を取り上げることはできませんが、以下の有名企業について解説していきます。
- アマゾン
- アップル
- グーグル
- ワーナーブラザースジャパン
- エクソンモービル・ジャパン
- フィリップモリスジャパン
全て一度は名前を聞いたことがある有名企業ばかりですが、株式会社なのか合同会社なのか確認していきましょう。
アマゾン
アマゾン(Amazon)と言えば誰もが知る大企業ですが、2016年にアマゾンジャパンとアマゾン・ロジスティクスは合併し、株式会社から合同会社へと変更しています。
社名は、「アマゾンジャパン合同会社」です。
アップル
スティーブ・ジョブズやiPhoneで知られているアップル(Apple)ですが、日本での正式名称に衝撃を受けた方も多いようです。
アップルの日本法人の名前は、「Apple Japan合同会社」となっており、株式会社ではありません。
グーグル
世界ナンバー1の検索エンジンを誇っているアメリカに本社を持つテクノロジー企業の日本支社の正式名称はなんでしょうか?
実はグーグルも日本法人として、「グーグル合同会社(Google Japan LLC)」を選択しています。
ワーナーブラザースジャパン
ワーナーブラザースジャパンが日本に設立された1992年の頃、日本法人はタイム・ワーナーエンターテイメントジャパン株式会社となっていました。
2002年には、幾つかの会社を合併し社名をワーナーエンターテイメントジャパン株式会社に変更しています。
その後、2016年に株式会社から組織変更をして、「ワーナーブラザースジャパン合同会社」へと変更されました。
エクソンモービル・ジャパン
石油製品や石油化学製品の会社として、世界的な有名企業であるエクソンモービル・ジャパンですが、日本法人の名前はどうなっているでしょうか?
1985年に日本法人が設立された時は、エクソンモービルカタリスト株式会社という名称でした。
2012年に組織変更が行われ、「エクソンモービル・ジャパン合同会社」という名称になっています。
フィリップモリスジャパン
タバコ業界では知らない人がいないほど有名なアメリカ企業ですが、日本法人の社名は「フィリップモリスジャパン合同会社」です。
上記であげた海外の有名大企業の全てが、日本法人として合同会社を選んでいます。
もともとは株式会社だった企業も、会社を調整して合同会社になっていることから、大きなメリットがあることが分かります。
では合同会社には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
合同会社のメリットとは?
もちろん株式会社よりも合同会社の方が、会社組織として勝っているというわけではありません。
実際、徐々に変化してきているとはいえ、合同会社よりも株式会社の方が、社会的に信頼性が高いという傾向は変わっていません。
(もちろん知識がない一般人からの見方ですが)
それでも合同会社には次のようなメリットがあるため、大企業の日本法人が合同会社に変更されています。
- 会社構造がシンプルで運営がしやすい
- 日本の会社法監査対象外になる
- 登録免許税のコスト削減
巨額の資本を持っている海外の有名大企業が、株式会社から合同会社に変更しているメリットには上記のようなものがあります。
会社構造がシンプルで運営がしやすい
資本金5億円以上の株式会社には、幾つかのポストが法律的に必要になります。
★取締役
★代表取締役
★監査役
★会計監査人
決算公告の必要性もあり、さらに最終決定権は株主になるため、会社運営に時間もコストもかかってしまいます。
しかし合同会社であれば、上記のような手間を全て省けるためスピーディな運営を行う事が可能です。
日本の会社法監査対象外になる
海外の企業が本国で監査を受けていたとしても、日本法人が株式会社であれば、日本でも監査を受けなければなりません。
しかし株式会社から合同会社になると、本国で監査を受けていれば、日本で重複して監査を受ける必要はありません。
さらに決算の開示も法律によって要求されているわけではないため、監査関係の手間とコストを大幅にカットできるようになります。
登録免許税のコスト削減
株式会社の資本を増資する時には、登録免許税(印紙代)が増資額の0.7%かかります。
増資額が10億円であれば、印紙代は700万円であり、増資の度に登録免許税の支払いが必要です。
これが合同会社であれば、増資は資本剰余金とみなされ、登録免許税の支払いがありません。
合同会社の利点まとめ
海外の大企業の日本法人の多くが、次々と株式会社から合同会社に変更されています。
これには大きく分けると3つのメリットがあり、大企業にとっても合同会社のメリットは大きいことが分かります。
大企業が合同会社にするメリットと個人事業者や中小企業が合同会社にするメリットは、若干異なります。
しかし会社設立を検討している方は、メリットの多い合同会社も視野に入れられるでしょう。
はっきりと言えば、将来上場を目指すかどうかであり、上場の意思がない場合は株式会社にする理由は全くなく、合同会社の一択でよろしいかと思います。これが世界の最先端の流れです。