会社の節税対策は接待交際費を上手に活用して利益も圧縮する

接待交際費で節税対策 経営・税金・法律

会社経営者、特に中小零細企業のオーナー社長が節税対策をする上で、最も簡単でかつ有効な方法は、下記の2点になります

節税対策の基本科目
  • 接待交際費
  • 福利厚生費

具体的にどのようにして接待交際費と福利厚生費を損金に計上すべきでしょうか?

この二つの使い方をマスターすることが、会社に資金を残しながら効率的な節税をするためのポイントになります。この記事では接待交際費について詳しく解説し、関連記事で福利厚生費についても書いていきます。

接待交際費の課税対象になる、ならないの境目とは

安定した経営のためには、節税について正しい知識を学び、理解しておくことが重要です。

中小企業や個人事業主にとって節税のポイントになるのは、日本の文化とも言える「接待交際費」です。

接待交際費の内容
  • 接待交際費とは何か?
  • 接待交際費は課税対象なのか
  • 勘違いしやすい経費

このコーナーを読んでいただくと接待交際費について正しく理解できますので、参考にしてください。

接待交際費とは何か?

接待交際費と一般的に言われていますが、確定申告の際の正しい項目は交際費です。
まずは、税法における交際費の正しい説明を確認しておきましょう。

交際費とは、交際費、接待費、機密費などの費用の事を指しており、法人が仕入先や取引先など関係のある者への接待、供応、慰安、贈答などのために支出する費用となっています。

簡単に説明するなら、取引先や関係者のご機嫌を取る(おもてなし)ために支出するための費用です。

交際費に含まれるのは具体的にどんなもの?

具体的な交際費の実例
  • 取引先との飲食
  • 取引先へのお祝い金や餞別や香典などの慶弔費
  • 取引先へのお土産やお中元(お歳暮)などの贈答品
  • 接待のために用意したタクシー代
  • 取引先へのゴルフ接待
  • 取引先の従業員を旅行や観劇に招待
  • 取引斡旋や譲歩提供のための謝礼
  • その他の仕入先や取引先への広告宣伝費や寄付金など

上記のような例は、交際費に含められます。

会社を経営している方であれば、仕事上このような経費をかなり支出しているかもしれません。
日本の文化として、こうした接待によって取引を円滑に進めることができたり、新規の仕事を獲得できたりするものです。

接待交際費の対象と言うと、取引先との関係をすぐに思い浮かべますが、交際費には会社の従業員や役員や株主なども含まれますし、現在取引がなくても将来取引に発展する可能性がある相手は全て含まれます。
また、同業他社の方々や情報交換の相手も接待の対象者となります。

それはどんな流れからも取引に発展する可能性が含まれ、情報交換からも多くの会社にとって有益なアイデアが得られるからです。結局このような人間関係から会社は成り立っているのです。

では接待交際費は、全て損金に含めて経費として計上できるのでしょうか?

交際接待費は課税対象なのか

交際費が非課税になるかどうかは、以下の点によって答えが変わってきます。

  1. 資本金1億以上の法人
  2. 資本金1億以下の中小企業
  3. 個人事業主

資本金1億以上の法人など大企業

上記で説明した種類の支出であっても、交際費は経費として計上できず、基本的に全額法人税の課税対象になります。
唯一の例外は、取引先との飲食が1人あたり5,000円以下であれば、【会議費】として交際費などから除くことができます。

資本金1億以下の中小企業

中小企業の場合、大企業とは異なり、交際費を損金として経費計上することができます。
しかし無限に経費として認められるわけではありません。

中小企業が交際費を損金として計上できる金額には上限が設定されており、現在は年間800万円までと規定されています。

この金額を超えてしまうと、損金に含めることができず課税対象となります。

2013年4月に税法が改正され、上記のように800万円以内であれば、全額経費になるとなりましたが、税制は繰り返し改定されるのでご注意ください。

個人事業主

個人事業主の交際費については、仕事をするために必要な交際費であれば、経費として計上でき、上限の設定はありません。

もともと使用できる交際費の金額が大きくないため、上限が設けられていないという事になります。

交際費を経費として計上するために注意すること

交際費については、税務署もかなり厳しく取り締まっているため、質問された時すぐに返答できるように準備をすることが重要です。

支出をきちんと証明できるように、ミスのない領収書を保管しておきましょう。
領収書には以下の5つの記載が必ず必要になります。

領収書が損金で落ちる条件
  • 領収書の宛名に記載がある
  • 金額が正しく記入されている
  • 領収書を発行日が記載されていること
  • 備考(但し書き)などに具体的な使用目的がきちんと記載されている
  • 領収書発行の会社名の記載、住所、社判があること

この5つの条件を満たしていない領収書は、正式なものとはみなされず交際費として計上できなくなります。
(領収書でなくても、レシートに上記記載があれば大丈夫です)

特によく見られる領収書の問題は、宛名が【上様】など明確に記載されていないことです。
これでは本当に交際費として使ったのか証明できないため、領収書としては無効になる可能性がありますので、注意してください。

【上様】は昭和時代のいい加減な慣習の名残りと言えますので、現代ではしっかりと宛名を記入してもらうことが大切です。というより、既に「上様」は死語となっており、街中で聞くことはなくなりました。

領収書に即日書き込みを入れるべき理由
  • 領収書は発行されたその日に、何を買ったのか?どこの誰と飲食したのか?等の相手の名前や使用目的を領収書の余白に書きこむことをおすすめします。
  • 決算の直前にまとめて領収書を整理する方もおられますが、だいぶ前のことを詳しくは思い出せない場合も多いと思います。
  • また税務署の方が調査に来た時も、領収書に全ての内容が記入されていれば、それ以上のツッコミもこない可能性が高まり、スムーズな税務調査が可能となり、お互いの手間が省けます。

交際費に含まれない間違えやすい費用

交際費のように感じても、実際には交際費に含まれない費用もありますが、代表的な例を幾つか紹介します。

リベート

商品を大量に購入してくれたお礼として、金銭を送ることもあるかもしれません。

これも取引先の従業員への謝礼なので、交際費に含められると感じる方も多いようですが、実際には交際費に含めることはできません。
税法では、リベート分は売上から控除するという方法が正しいものとなります。

景品を支給する時

取引先へのお土産は、交際費に含まれるため、数千円ほどの景品も交際費として計上できると思われる方もいます。

しかし景品に、自社名があり、領収書によって商品をきちんと確認できるのであれば、交際費ではなく景品費、または広告宣伝費として計上します。

接待交際費まとめ

交際費は、会社の資本状況などによって扱い方が変わるなど、若干分かりづらくなっています。

なんとなく交際費だと思うという事で計上してしまうと、税務調査で計上できないことが分かり課税額が増えてしまうこともあります。
ですから節税のためにも、交際費について正しく理解しておくようにしましょう。

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