法律関係の士業の中で、弁護士資格は別格であると世間ではよく言われています。
では弁護士の資格を持っていれば、他の法律関係の士業の業務を全て行うことができるのでしょうか?
弁護士と他の士業との違いもあわせて見ていきましょう。
正しく理解できれば、法律上の相談をしたいが、どこに相談すれば良いのか分からないこともなくなります。
重要な項目は以下になります。
- 士業の種類
- それぞれの士業にはどんなことができるのか
- 弁護士は多くの法律上の士業の業務ができる
- どんな士業は行えないのか?
まずは法律関係の士業の種類について見ていきましょう。
士業にはどんな種類がある?
士業とは、業種の最後に「士」と付く職業のことを指して使われることもありますが、主に法律に関係する職業を指して使われます。
- 弁護士
- 司法書士
- 弁理士
- 税理士
- 土地家屋調査士
- 社会保険労務士
- 海事代理士
- 行政書士
以上の8業種が、一般的には8士業と呼ばれています。
会計まで含めた8士業となると、海事代理士の代わりに公認会計士が含められていることもあります。
しかし基本的には、最初に紹介した8つの職業を8士業として扱っていることが多いです。
判断の基準は、上記の8士業は第三者の戸籍謄本や住民票の写しを請求する権利を持っているということです。
もちろん、私用で第三者の戸籍や住民票を請求することは許されていませんが、業務上必要であれば職務上請求書によって請求が可能になります。
それぞれの士業にはどんなことができるのか
法律関係の士業には、それぞれが独占業務として行う仕事があり、他の士業の業務は行えないようになっています。
簡単に言うなら、司法書士の仕事は税理士にはできないという意味です。
では、それぞれの士業がどんな仕事を独占業務として行っているのか確認してみましょう。
行政書士
国や地方の公共団体への書類提出の際、依頼者の代理として書類を作成し提出する業務を行う。
国や公共団体とは、警察署や税務局、年金事務所、入国管理局や役場などへの提出書類という意味です。
ただし、他の士業が専門的に行うような仕事、例えば税務書類については税理士が行うため行政書士が行うことはできません。
司法書士
法務局や裁判所への申請書類の作成と提出が司法書士の業務です。
先程の行政書士と重なっているように感じるかもしれませんが、司法書士は登記に関する書類の作成と提出を担当しています。
税理士
税理士は税務署に提出する税務署類の作成と提出、さらに会計帳簿や決算書の作成など、税務関係の仕事や相談を独占して行います。
社会保険労務士
社会保険労務士の行う仕事は、労務に関係する社会保険の書類や手続き、労働保険に関する業務になります。
また就業規則の作成なども社会保険労務士が担当します。
ブラック企業に対する書類の作成などは、社会保険労務士の担当です。
では弁護士には、どのような独占業務があるのでしょうか?
弁護士は多くの法律上の士業の業務ができる
士業はそれぞれに独占業務があるので、踏みこんではいけない領域が存在しているとご紹介しました。
しかし弁護士だけは例外となり、上記であげた8士業のほとんどの業務を行うことが法律によって許されています。
司法書士や行政書士、税理士など7種類の士業の業務は、弁護士資格があれば担当できます。
さらに、弁護士資格を持っていれば、行政書士の業務を行えるだけでなく、行政書士として登録することも可能です。
弁護士の資格がどれだけ特別視されているのかよく分かります。
しかし弁護士資格を持っていても行えない業務もあります。
土地家屋調査士
上記で紹介した8士業の中で、唯一弁護士でも行えない仕事があり、それが測量の経験や技術が必要になる土地家屋調査士の業務です。
土地家屋調査士になるためには、1年に1度実施される土地家屋調査士試験を受験して合格することが条件になります。
ですから仮に弁護士であっても、土地家屋調査士の業務を行いたい場合は、資格試験を受験して合格しなければなりません。
土地家屋調査士の受験資格は、性別や年齢などの制限がないため、弁護士として働いているのであれば受験資格は満たしています。
公認会計士
弁護士資格を所有していれば、税務関係の仕事を税理士の代わりに行うことも可能です。
しかし、いかに弁護士であっても公認会計士の業務を担当することは許されていません。
先程の土地家屋調査士の測量技術と同じように、公認会計士の業務には法律以外に必要な監査業務というものがあります。
もし弁護士が公認会計士の業務を行いたいと思う場合は、改めて公認会計士の資格試験を受験しなければなりません。
まとめ
弁護士の資格を有しているなら、多くの法律関係の士業業務を行うことができるため、弁護士免許は非常に優れた資格と言えます。
法律関係業務のオールマイティな資格と言えるでしょう。
しかし土地家屋調査士や公認会計士に関しては、別途受験によって資格を取得することが求められます。
ですからこの2種類の業務以外であれば、弁護士に相談しておけば問題はないということになります。