会社設立の手続きと流れ【必要書類と定款作成、資本金の相場】

会社設立の手続き 経営・税金・法律

独立起業して会社を設立するための手続きは、面倒でハードルが高いという印象を受ける人も多いものです。
しかし、そのために人生においての飛躍のチャンスを逃していけません。

会社の設立はそれほど難しいものではありませんので、是非果敢に挑戦していただきたいと思います。
この記事では自分で会社を設立する際の手順や流れ、ポイントなどを徹底解説していきます。

会社を設立する手順とは

会社を設立する際の主な手順を大まかに書くと、次のようになります。

  1. 基本事項の決定
  2. 法人印鑑の作成
  3. 定款の作成
  4. 定款の認証
  5. 資本金の払い込み
  6. 登記書類の作成
  7. 登記申請
  8. 登記後の各種行政などへの手続き

事務処理や手続きなどがたくさんありますが、どれも難しいものではありません。

ひとつひとつを着実にこなしていけば、スケジュール的には全体で2週間から3週間程度で完了を見込めるボリュームです。
順を追って説明しましょう。

基本事項の決定

会社を設立する際にまず決めなければならない基本事項は、後述する定款の絶対的記載事項が軸となります。

株式会社の絶対的記載事項の6項目
  • 事業目的
  • 商号(会社名)
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価格又はその最低額
  • 発起人の氏名および住所
  • 発行可能株式総数

会社名はいわゆる商号のことで基本的に好きな名称を付けることができますが、既存の商号と同じものは設定できません。
本店所在地の管轄となる法務局で事前に確認しておきましょう。

事業目的を記載する際のポイントは、決定している事業のほか将来的に展開する事業についてもいくつか含めておくことと、最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」と追記しておくことです。

これにより後々の事業拡大の際に定款を書き直す手間を省くことができます。

法人印鑑の作成

会社の設立に際しては実印と銀行印、角印の3種類を準備する必要があります。

実印は法務局への登記を申請する際に必要となる印鑑で、銀行印は取引口座を開設する銀行に届け出る印鑑。証券会社に口座を開設するときも銀行印を使います。角印は日々の業務で書類に押印する際などに使用する印鑑で、認印とも呼ばれています。

デジタル社会になっても印鑑の持つ効力はまだまだ健在なので、特に実印はスピード印などではなく、専門店で品質の良いものを作っておきましょう。
普段使いのゴム印なども必要に応じてまとめて発注しておくのがおすすめです。

印鑑はとても大切な物ですので、安物で済ませることはおすすめできません。
ちゃんとした風格のある印鑑を作るには最低でも2週間以上の余裕は見ておくほうがよろしいでしょう。

法人の印鑑は、普通のハンコよりも<開運印鑑>と呼ばれる、縁起の良い運気が上がるものをおすすめします。有名店の中でも評判が最も良いお店は国際数霊印相学会になります。

定款の作成

会社の憲法とも呼ばれる定款は法人の目的や組織、業務執行などについての基本規約をまとめた資料のことで、紙や電子媒体に記録されます。

前手順で決定した絶対的記載事項がひとつでも欠けると定款は無効になるので注意しましょう。

その他に現物出資や財産引受けなどの変態設立事項、株式に関する規定などを相対的記載事項として必要に応じて記載します。

定款の認証

作成した定款が正しいものであることを、第三者に証明してもらう必要があります。
これが定款の認証で、具体的には会社の本店所在地を管轄する法務局所属の公証役場で認証を受けることになります。

手続きには発行後3ヵ月以内の印鑑証明書が発起人全員分必要です。

定款を紙媒体で持ち込む場合には収入印紙代が4万円かかりますが、電子定款の場合印紙は不要です。
認証時には住所の記載方法なども細かくチェックされるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。

資本金の払い込み

定款が認証されたら記載内容に基づいて資本金の払い込みを行いますが、この際に注意したいのは次の2点です。

資本金払い込み時の注意事項
  • 振込は発起人である株主の個人口座に本人の名義で行う
  • 資本金の金額そのものを振り込む

振込先は会社の口座ではなく個人口座に本人名義で行います。
そもそも会社の口座は設立後でなければ開設できません。

そして金額ですが、資本金が100万円であれば100万円を振り込む必要があります。
振込先口座の残高を100万円になるように振り込むのではありません。

資本金の決め方について

現在では1円から会社を設立できるようになりましたが、実際には1円創業はおすすめできるものではありません。

例えば取引先の会社が資本金1円でしたらあなたはどう感じますか?信頼できますか?
個人的には50万円や100万円でもどうかと思います。「お金がないのかな」と思ってしまいます。

以前は有限会社で最低300万円以上の資本金が必要でしたが、やはりそのくらいは必要かと思います。実際に創業した後のことを考えると300万円くらいの資本金がないと資金繰りはかなり厳しくなることでしょう。

以上の理由から、会社設立には300万円以上の資本金を推奨します。

また会社の設立初年度は消費税が免除されますが、資本金が1,000万円以上の場合はこの特例が適用されずに課税されることも覚えておきましょう。

振込が終わったら払い込みの証明として通帳の表紙と1ページ目、そして振込内容が記載されたページのコピーをとります。

そして払込証明書に必要事項を記載して会社の実印で押印し、通帳のコピー3枚とともに綴ります。
最後にそれぞれの継ぎ目に実印で割り印を行えば、払い込みは完了です。

登記書類の作成

法務局への登記に必要な書類は、主に次のとおりです。
用紙サイズはA4で統一しましょう。

法人登記に必要な書類
  • 登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙
  • 定款
  • 資本金の払込証明書
  • 発起人決定書
  • 取締役の就任承諾書
  • 監査役の就任承諾書
  • 取締役の印鑑証明書
  • その他の必要書類
  • 印鑑届書
  • 登記すべき事項を保存した磁気ディスク

すべての書類が準備できたら印鑑証明書を除いた状態で重ね、左側をホッチキスで閉じておきましょう。
設立する会社の種類によって必要書類は変わってくるため、事前によく確認しておく必要があります。

登記申請

書類を揃えて申請を行うと、法務局の登記官によって審査が行われます。
提出書類や記載内容に不備があった場合は補正を求められるので、指示どおりに修正して再提出します。

内容に問題がなければ約1週間後に晴れて登記完了となります。
会社設立日は補正の結果が出た日ではなく「登記申請書提出日」となるので注意しましょう。

登記が完了したら登記申請の際に届け出た印鑑について印鑑カードを受け取り、印鑑証明書の交付が受けられます。
この時、あわせて登記簿謄本も何通か取得しておくことをおすすめします。

登記後の手続き

会社設立の登記が完了した後にも様々な手続きをする必要があります。
主なところを挙げてみましょう。

登記完了後の手続き一覧
  • 税務署への届出と申告
  • 道府県税事務所・市町村役場への届出
  • 社会保険事務所への届出
  • 労働基準監督署、ハローワークへの届出

大きく分けると税金関係、労働保険関係、社会保険関係の3種類の手続きが必要です。

それぞれの手続きは忘れていた場合にも督促などは特にありませんが、後々会社が不利益を被る恐れがあります。
忘れずに必要な手続きを行いましょう。

会社設立の手続きは税理士や司法書士への丸投げでOK

以上が会社設立までのおおまかな流れです。
必要書類の準備など手間はかかりますが、事前の確認を入念に行っていれば決して難しいものではありません。

ところでこれら一連の流れを全部自分でする方はほとんどいません。実際には専門の士業にお願いするのが一般的です。

会社設立に関して自分でやること
  • 何の事業をやるのか?会社の目的、業種
  • 会社名を考える
  • 資本金を決める
  • 会社印鑑の作成

これくらいのもので、それ以降は全て専門の士業に丸投げで大丈夫です。

会社の設立に関する専門家とは司法書士や税理士を指しますが、このうち全ての手続きをまかせられるのは司法書士だけになります。
全体のフォローを受けたい方は司法書士への相談を検討するとよいでしょう。

しかし税理士事務所でもその他の専門家を雇っていたり、提携先がある場合も多いので、現実的には税理士に全てお任せでも問題ないケースがほとんどです。
むしろ税理士の他に司法書士を探すのは面倒なので、税理士事務所で統一した方が何かと楽です。

私の場合は、今後お世話になる税理士をまずは決定し、税理士事務所で残りの全てをやっていただきました。
設立後の顧問契約が条件で、全ての手続きは無料サービスでした。
会社設立の際には、税理士を決めてから、全ての手続きを税理士事務所でやってもらえば、経費も浮きますし、簡単に手続きが完了します。

会社設立の手続きまとめ

会社を設立する際の大まかな流れとしてまず基本事項を決定して定款を作成、定款の認証を受けたら資本金を払い込んで、登記書類を作成して申請という流れになります。

登記が完了したら税務署や社会保険事務所などへの届出も忘れずに行いましょう。

手続きに不安がある方は司法書士や税理士などの専門家への相談もおすすめです、というより殆どの起業家は、会社設立を専門家への丸投げでやっていますので、誰でもなんの知識もなく簡単に会社は設立できるものです。

タイトルとURLをコピーしました