世界の障害物競走?3000メートル障害の面白さについて語ります

3000m steeplechase スポーツ

陸上競技の障害走の1つである3000メートル障害をご存じですか?

まるで世界規模の障害物競走のような競技で、あまり知られてはいませんが、とても奥深く魅力的な競技です。

この記事では3000メートル障害の基本ルールと、3000メートル障害ならではの面白さについてご紹介します。

3000メートル障害はどんな競技?

3000メートル障害は、複数のハードル等を飛び越えながら走る障害走の1種です。
コース上の障害物を乗り越えながら、3000メートルを走るタイムを競います。

英語名でスティープルチェイスとも呼ばれ、略語のSCを用いて3000mSCと表記されるのが一般的です。

3000メートル障害の基本ルール

3000メートル障害の競技エリアは、400メートルトラックです。

スタートから約半周の間は障害がありませんが、選手の通過後に審判が配置します。

トラック上の障害物を避けて通ったり、下をくぐり抜けた場合は失格となりますが、障害物に手や足をかけて乗り越えることは可能です。
また、フライングが許されるのは各レース1回限りです。

2回目にフライングしてしまった選手は、1回目の選手にかかわらず失格になります。

フィニッシュについては、100メートル走等の走種目と同じく、胴体がフィニッシュラインに達した時点でフィニッシュです。

コース上に設置される障害は?

400メートルトラック上に配置される障害は、以下の2種類です。

  1. 平均台に類似した4個の障害物
  2. 障害物の着地点に配置された1個の水たまり

4つの障害物には、ハードルのようなペイントが施されています。
男女で高さが異なっており、男子は91.4センチメートル、女子は76.2センチメートルです。

ハードルとは違い地面に固定されているので、足をかけても倒れません。
一方、障害の着地点にある水たまりは水濠と呼ばれます。

水濠のサイズと深さは男女で等しく、長さ3.66メートル、最深部0.7メートルです。

また、障害物に近い場所が一番深くなっており、徐々に浅くなる形です。

水濠がトラックの外側ある競技場と内側にある競技場に分かれており、世界的には後者が主流となっています。

トラックの内側に水濠がある場合、3000メートルを走り切るまでに計28回の障害物と計7回の水濠を越えなければいけません。

3000メートル障害の面白さ

他の走種目とは毛色の違う3000メートル障害には、普通の中距離層とは一味違った面白さがあります。

ルールを踏まえつつ、面白さの理由を見ていきましょう。

3000メートル障害は過酷な競技

3000メートル障害は、陸上で最も過酷なトラック種目とも言われます。

比較的長い距離を走る中で、約80メートルの短い間隔で障害を越えなければいけないためです。

ハードル走のように足をかけても障害物が倒れないため、転倒のリスクもあります。
転倒リスクを避けるためには、団子状態にならないよう注意しなければなりません。

また、水濠によるスピード低下を抑えるため、できるだけ遠くへ飛び、水深の浅い地点に着地できるかも重要です。

水濠に足を取られると転倒に繋がりますし、深い場所では体力も奪われます。
シューズが水を吸って重くなることも、選手の体力を奪う原因です。

こうした数々の難しさが、3000メートル障害ならでは面白さに繋がっています。

ペース配分と駆け引き

3000メートル障害で勝つためには、常に十分な速度を保って走りつつ、障害を越える度にリズムを調整しなければいけません。

団子状態になって障害前で足止めされたり、バランスを崩してしまうと、一気にペースが乱れます。

障害までの距離やシューズの重さ、体力の低下を考慮しながら、レース全体のペース配分を行うことが大切です。
観ている側からしても、1つの障害がきっかけで勢力図が変わりかねないため、最後まで油断できません。

レース中の緊張感とペース配分の駆け引きは、3000メートル障害だからこそ感じられる面白さです。

メジャーな世界大会

3000メートル障害のメジャーな世界大会をご紹介します。

世界陸上競技選手権大会

国際陸上競技連盟によって開かれる、世界最高峰の陸上大会です。

1983年にヘルシンキで第1回大会が行われ、現在は奇数年の夏季に開催されています。

男子3000メートル障害は第1回大会から行われていましたが、競技の過酷さが原因で、女子が追加されたのは2005年のことでした。

オリンピック3000メートル障害競技

男子3000メートル障害は、1900年のパリオリンピックから正式種目として採用されている歴史があります。

女子については、やはり競技の過酷さから、2008年の北京オリンピックからの採用となっています。
世界陸上競技選手権大会と並び、最高峰の大会の1つです。

まとめ

3000メートル障害は、トラック上に動かない障害と水濠が設置された異色の陸上競技です。
ただ単に走力を競うだけではなく、いかに障害を乗り越え、ペースを調整できるかが重要になります。

他の走種目以上にレース展開が読みづらく、手に汗握る緊張の試合を最後まで楽しめるのが特徴です。
3000メートル障害でしか味わえない独特の面白さを、ぜひ体感してみましょう。

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