若者を中心に人気が高まっている自転車競技の種目に、BMXレーシングとフリースタイルがあります。
10代で国際大会に出て入賞を果たしている選手も多数出てきており、今後も競技人口は増え続けることが予想される熱い競技です。
今回は、BMXレーシングやフリースタイルの特徴や見どころについて解説します。
BMXとは?
BMX(Bicycle Motocross)は自転車競技に用いられる専用の自転車です。
一般的なシティサイクルやロードバイクなどとは異なり、快適な運転のための機能が排除されたシンプルな構造で、変速機能なども付いていません。
前後輪のホイール径は20インチと比較的小さく、本体も激しい動きを伴う競技に特化した頑丈な造りになっています。
BMXを用いて行われる主な自転車競技には、BMXレーシングとフリースタイルがあります。
スリリングな展開が見どころ、BMXレーシング
BMXレーシングは1周300mから400m前後のダートコース(土のコース)を最大8人で走り順位を競う種目で、コースには大小さまざまな起伏やジャンプ台などが設置されています。
大会は年齢や能力でクラス分けされていて、幼い小学生や女子のクラスでもレースが活発に行われています。
BMXレーシングはスタートヒルと呼ばれる高所からはじまり、坂を駆け下りて障害を越えていきます。
基本的には先行逃げ切りが有利とされますが、起伏の大きいコースやジャンプ台などがあるため転倒や落下、選手同士の接触といったアクシデントが頻繁に起こります。
最後の最後まで何が起きるかわからない、スリリングな展開が見どころの種目です。
トリックが決め手のフリースタイル
一方のフリースタイルはBMXに乗りながら様々な技を繰り出して難易度や独創性に応じた得点を競う競技で、離れ業を伴ういわゆるエクストリームスポーツの1種です。
BMXの車体をまるで身体の一部のように操る光景は圧巻で、まさに人間離れしたパフォーマンス。
なおフリースタイルのようなエクストリームスポーツでは競技の中で繰り出す技を「トリック」、ジャンプして空中で繰り出す技を「エアートリック」といいます。
フリースタイルはさらに多くの種目に分かれています。
フリースタイルの種目
BMXのフリースタイルには、主に次のような種目があります。
- フラットランド
- パーク
- ストリート
- トレイル
- ヴァート
- ビッグエア
フラットランド
舗装された平坦な地面を舞台に様々なテクニックを披露し、得点を競う種目です。
前後輪の左右に取り付けられたペグというパーツを使って身体を支えたり、障害物に引っかけたりしながらパフォーマンスを行います。
それぞれの難易度だけでなく全体の構成やオリジナリティも採点の対象になる、フィギュアスケートに近い種目です。
車体を自在に操るテクニックが見どころのひとつです。
パーク
スケートボードやインラインスケートなどの競技専用施設であるスケートパークを舞台に行われる種目です。
スケートパークはクォーターランプやバンク、スパインなど様々なセクションで構成されていて、選手は各セクションごとにエアートリックを披露し得点を競います。
ジャンプの高さや技の完成度、オリジナリティなど様々な評価基準が設けられています。
ストリート
フリースタイルの起源でもあるストリートカルチャーを競技として発展させた種目で、階段の手すりや縁石、壁など街中にある建造物に見立てたセクションを使って技を披露します。
先述のフラットランド種目では手足をかけたりするため表面に滑り止めの加工を施した軽めのペグを用いますが、ストリート種目では建造物との接触を考慮して滑りやすく耐久性の高いタイプのペグを使用します。
トレイル
地面に大きなこぶを多数作ったトレイルと呼ばれるコースでジャンプを繰り返してエアートリックを決める種目で、ダートやダートジャンプとも呼ばれています。
加速してのジャンプとトリック、着地というプロセスを連続的に行う様は、見る側にも独特の爽快感を与えます。
ヴァート
スキーやスノーボード、スケートボードなど使用されるハーフパイプに似たU字型のヴァートランプで行う種目です。
ヴァートランプから繰り返しジャンプして様々なトリックを披露するため、空中で自身の身体とBMXの車体を正確にコントロールする高い技術が求められます。
コントロールを誤るとヴァートランプの端や斜面に激突する危険が大きいこともあり、競技人口は他に種目に比べると多くありません。
ビッグエア
急斜面から駆け下りてジャンプ台から勢いよく跳び上がり、10m近くにもなるジャンプの中で様々な技を繰り出す種目です。
滞空時間の長さと見ているものを圧倒するエアートリックの数々は必見です。
ビッグエア種目はスノーボードやフリースタイルスキー、スケートボードなど他のエクストリームスポーツでも行われています。
主要な国際大会
BMX競技が行われる主な国際大会には、オリンピックや世界選手権自転車競技大会、各国を転戦するBMXスーパークロス・ワールドカップなどがあります。
オリンピックは2008年の北京大会からBMXレーシングが採用され、2020年の東京大会でフリースタイルのパーク種目が採用されることが決定しています。
全日本BMX選手権で優秀な成績を収めた若い選手達もこうした国際大会に数多く出場していて、今後の活躍が大いに期待されるところです。
BMXまとめ
BMXという専用の頑丈な自転車を用いて行われるBMXレーシングとフリースタイルは、どちらも若者に人気の自転車競技です。
ダートコースで行われるBMXレーシングは起伏のあるコースをスピーディに駆け抜けるスリリングなレース展開が魅力。
パークやストリートなど様々な種目に分かれるフリースタイルはジャンプや回転といった様々なトリックを披露する身体能力とテクニックが見どころです。
幼い頃から自転車に触れて経験を積んできた若い選手が多く活躍する、とても熱い競技です。