「アーティスティックスイミング」と聞くと耳慣れない単語のようですが、以前は「シンクロナイズドスイミング」と呼ばれていた競技です。
水泳の競泳と共に多くの人々に注目を集めている人気の水泳競技のひとつです。
音楽に合わせて肉体を動かし、どれだけぴったり呼吸が合うか、技の種類や演技力が注目のポイントであり、観戦のコツです。
また、アーティスティックスイミングにはどんなルールがあるのか、採点方法はどのように行われているのかをこれから解説していきます。
同調性やチームによって違う個性を楽しめる競技
音楽に合わせてプールの中で様々な動きを行きぴったりに行うのがアーティスティックスイミングの競技です。
アーティスティックスイミングで競い合うのは以下の部分です。
- 同調性
- 演技構成
- 技の完成度
- 芸術性
- 表現力
こうしてみると多角度な視点から採点されることが分かりますね。
アーティスティックスイミングは1980年代にオリンピックに正式種目として採用されました。
その後30年以上たちますが、その間に様々なルールの変更や技の開発などが行われてきました。
新しい技もどんどん生まれてきており、チームによって違う個性を楽しめるようになっています。
アーティスティックスイミングのルール
アーティスティックスイミングには人数によって種目が分かれています。
★ソロ(1人)
★デュエット(2人)
★ミックスデュエット(男女ペア)
★チーム(4人~8人)
★フリーコンビネーション(8人~10人)
★ハイライトルーティーン(8人~10人)
このうちソロとデュエット、チームについては、予め決められた規定要素と呼ばれる技を演技に取り入れるよう決まっているテクニカルルーティーンと、規定要素がないフリールーティーンがあります。
テクニカルルーティーンは競泳者の技術力が問われますが、フリールーティーンはジャンプなどの大技が多く、演技構成や表現力などが判定されます。
またアーティスティックスイミングにはフィギュアとルーティーンという2つの競技があります。
フィギュアは技の完成度のみを採点するため、音楽は使用せず地味ないでたちだからか、ほとんどテレビなどで放映されることはありません。
一般的にシンクロだと思って見ている物は全てルーティーンという競技の方です。
さて、次は競技を行う競泳者の特徴を見てみましょう。
- ノーズクリップ
- その国ならではの派手なデザインの水着
- 耐水性の化粧を行い、口紅も濃い物を使用する
ノーズクリップは鼻に水が入るのと、肺の空気が漏れないために使用します。
ノーズクリップは予備を持つのが基本ですが、わずかながらクリップをしないで泳げる選手もいます。
また表現力や芸術性を高めるためにも、派手な水着や濃い目の化粧はかかせません。
アーティスティックスイミングの採点方法について
アーティスティックスイミングの採点は、1組5人から7人の審査員が2組で採点しています。
テクニカルルーティーンの採点
TRの採点は1組が完遂度を採点、もう1組が構成や音楽の使い方、また難易度などを採点します。
★エクスキューション(完遂度、主にスキルと同調性)30%
★インプレッション(難易度、構成、音楽の使い方、プレゼンテーションなどの芸術性)30%
★エレメンツ(各規定要素の完遂度、専門スキルのレベル)40%
フリールーティーンの採点
FRの採点は1組が難易度と同調性そして完遂度を採点し、もう1組がそれ以外のポイントを採点します。
★エクスキューション(完遂度、主にスキルと同調性)30%
★アーティスティック・インプレッション(構成、音楽の使い方、プレゼンテーションなどの芸術性)40%
★ディフィカルティー(難易度、難しさの度合い)30%
専門家による採点のため、一般人には分かりにくい部分もありますが、このようにルーティーンによって採点方法が変わっているということだけ、知っておくと良いでしょう。
体を水面から華麗に出す技術が見どころ
アーティスティックスイミングでは非常に重要な技術があります。
例えば水をかき、体の位置を保ったり推進力を得るスカーリングという技術があります。
他にも巻き足と呼ばれるいわゆる立ち泳ぎのエッグビーターキックという泳ぎ方です。
そんな瞬発力のある選手の技が最大の見どころでしょう。
また水中に顔を沈めて長くなると30秒間足技を繰り広げる選手もおり、ただ激しいだけでない美しさも兼ね備えた演技が見ものです。
まとめ
アーティスティックスイミングは女性の競技というイメージがあります。
しかし近年では、男女ミックスペアやフリーコンビネーションに男性が混じって行うなど、様々な種目が楽しめるようになってきています。
採点方法は0.1点刻みと素人には分からないレベルの世界で競われていますが、あまり細かいことは気にせずにあくまでも演技を楽しむことが大事です。
またアーティスティックスイミングはロシアが強いと言われていますが、その理由のひとつにバレエ人口が多いからとされています。
ただ日本も決して弱い訳ではありません。
オリンピックやその他の公式試合を見て、華麗ながら力強い日本選手を応援しましょう。